おいしく食べる

おいしく食べる健康食にこだわらず、〝おいしく食べる″こと
まず食べることが生命を維持していく上での第一条件であれば、人間の自然治癒力というものが「食」に大きく関わってくることは、どなたでもすぐ推察のつくところでしょう。ではどんなものを、どのように食べたらそれが高まるのでしょうか。
最近は健康食ブームで、お昼のテレビ番組などでも毎日ひとつの食品を取り上げ、これを食べると血圧を下げるのに効果があるとか、胃腸の働きをよくするなどとやっています。食材に関する知識が増えることは、たしかにいいことではあります。
がしかし、「毎日○○を食べるとからだにいい」といった一品式の健康食や、菜食主義・玄米食などの総合式の健康食は、あまりそれにこだわりすぎると、かえってよくありません。自然治癒力を低める結果になると思います。
食事は、たんに栄養を補給することだけが目的ではありません。家族や友だちと楽しく談笑しながらおいしく食べれば、心身ともにリラックスしますし、それが人生の大きな楽しみのひとつでさえあるのです。ところが健康食にこだわるあまり、ガチガチのルールで自分の食生活をしばってしまう人がいます。
たとえば同級生たちがひさしぶりに会って、「それじゃあこれからどこかで一杯やって、飯でも食おうか」ということになり、お店を探すとします。そんなとき、なかの一人が「僕はちょっと肉と魚はだめなんだ、菜食主義でね」などといい出せば、さあこれからみんなで一杯飲んで楽しくやろうという出鼻をくじかれ、きっと白けてしまうでしょう。旧交を温め合うというたいせつなコミュニケーションの機会に水をさし、ほかの人たちに不愉快な思いをさせてしまいます。
菜食主義をけっして否定するつもりほありませんが、絶対にこうしなければならない式の食事方法は、私ほむしろ不自然だと思います。本来人間のからだというものは、どちらかといえば肉より野菜を食べるようにできていますから、野菜を多くとったほうがよいことはたしかでしょう。しかし、肉を絶対に食べてはいけないということはなく、むしろひどく疲れたときなどは、焼肉などを食べるとまたモリモリと元気を回復することができます。
生まれつきの好き嫌いであれば仕方ありませんが、そうでなければあまり観念的な制限にとらわれると、食事が一種の苦行になってしまいます。これは本来あるべき姿ではありません。基本的には、なんでもまんべんなく自然体で〝おいしく食べる″ こと、これが一番たいせつなことです。