ストレスと自然治癒力

適度なストレスを感じていたほうが、自然治癒力は高まる。
ストレスという言葉をはじめて医学の領域に導入した、カナダの内分泌学者、H・セリエ教授が、つぎのようにいっています。
「ストレスは人生のスパイスであり、からだのいかなる反応も必要としないようにストレスをなくしてしまうことは、死を望むのと同じである」
つまりストレスは、ある程度あったほうが、かえっていきいきと生きられるということなのです。あんこをつくるときに、砂糖のほかに塩をちょっと入れると甘さがひきたつのと似ています。
砂糖だけでは甘ったるくなりすぎますし、かといって塩を入れすぎるとからくなりますから、適量を加えるのがコツです。
ストレスも過剰であれば病気をひき起こしますが、適度であればそれに打ち勝とうとする力が生まれて、かえって抵抗力の強いからだができ上がるというわけです。
この打ち勝とうとするものの正体を、「ホメオスタシス」といい、日本語では「全体恒常性」などと訳されています。
人間のからだを安定した状態に維持する働きのことで、したがってホメオスタシスは自然治癒力の仲間といってよいと思います。
一般にストレスを感じた生活をつづけていると長生きできないといわれますが、ホメオスタシスがストレスと生体のあいだをバランスよく維持しているかぎり、長生きできないとはいちがいにいえません。
逆に抵抗力が強くなるのですから、長生きしている場合のほうが多いはどです。
このことからいえることは、ストレスを何でも悪いものと決めつけて、ストレスを与える物からひたすら逃れようとしなくてもよいということです。
自分の精神や肉体をむしばむような大きなストレスは取り除かなければなりませんが、ちょっとしたストレスならば可愛い友だちとでもいった感覚で付き合ってかまいません。
そのほうがストレスの刺激を受けてホメオスタシスが働いて、結果的に健康なからだをつくってくれるはずです。
また、そのような余裕をもった心で生活していると、自然治癒力もじょじょに高まっていくのです。